アコヤ真珠と本真珠の違いをまとめてみました。結論は、アコヤ真珠は本真珠の一部と言えますが、この疑問が生じる原因や偽物との判断方法も書いていきます。
本真珠とは?
本真珠とは、基本的にパールが本物である事を指す語として用いられることがほとんどです。つまり真珠の種類に関係なく偽物でなければ全て本真珠と表記する場合があります。
真珠 | |
本真珠 | イミテーション(偽物) |
天然真珠 | 貝パール・プラスチックパールなど |
アコヤ真珠 | |
南洋真珠(白蝶・黒蝶真珠) | |
淡水真珠(池蝶真珠) | |
マベ真珠 | |
コンクパール等 |
このように、偽物の真珠でなければ全て本真珠という事になります。
(カリブ海で生息するピンク色のコンクパールや、貝の形に特徴があるマベ真珠も本真珠の仲間です。)
貝パールは、用いられている真珠核は本物の真珠と同じですが、表面に人工的な真珠の塗布を施したものです。
重みや質感も本物にもそっくりな事から初心者の方は見分けられない方もいますが、結論から言えば偽物です。時にシェルパールとも呼ばれるために注意が必要です。
アコヤ真珠とは?
あこや真珠は主に日本で養殖され、生産されている本真珠(本物の真珠)の仲間です。使用されている貝の名称が「アコヤ貝」で、アコヤ貝から採れる真珠なので、アコヤ真珠という名称で呼ばれることがほとんどです。
アコヤ貝は比較的小さな貝なので、南洋真珠のように大きなパールは養殖できません。また基本的には1つの貝から1つのパールしか養殖出来ない事から、淡水パールよりも値段が高くなります。
日本を代表するパールと言えば、間違いなくアコヤ真珠1択です。古くから日本人が着用している真珠ネックレスもアコヤ真珠がほとんどです。
花珠真珠とアコヤ真珠の違い
花珠真珠とは、上記のアコヤ真珠の中でも比較的高品質のパールに対して用いられる呼称で、ほとんどの場合鑑定鑑別機関が発行した花珠鑑別書が付属します。以下の画像は、鑑別書の発行機関である真珠科学研究所が花珠として認めた鑑別書のサンプルです。
基本的に花珠鑑別書がつく真珠のネックレスは「アコヤ真珠」に限定されています。花珠の合格基準は比較的高く、テリ光沢や傷具合、形状や色のそろい具合など様々な検査項目にクリアしないと合格できません。
それが原因で値段を大きく引き上げる原因となっており、真珠の高騰が見られる現在、花珠真珠の需要は低下しています。
よって、花珠のようなテリ光沢はあっても少し傷があるようなミドルクラスのネックレスが売れ筋傾向にあります。
更に詳しくは↓↓
上記の記事でも触れていますが、花珠真珠は比較的傷の基準が高く、真珠の価値が分かりにくい一般消費者向けにフォーカスされています。よって、花珠真珠とアコヤ真珠の違いは花珠鑑別書の有無であって、花珠の方が比較的高品質の傾向にあります。
南洋真珠とは
南洋真珠はアコヤ真珠とは母貝が異なりますが、本真珠の仲間です。南洋真珠というのも主に南洋圏で養殖されるパールの総称となりますので、さらに細かく分類可能です。
白蝶真珠
白蝶真珠は南洋真珠の中でもオーストラリア、フィリピン、インドネシアなどで採取可能で、ホワイト系からイエローなどの色味を持っているのが特徴です。アコヤ真珠などに比べて大きなパールサイズが採れるのが特徴で、15㎜やそれ以上の大きさのパールもありますが非常に高額です。特にここ数年中国での人気に伴い急激に価格高騰しましたが、2024年現在少し落ち着いてきています。
特大白蝶真珠ネックレスに関しては以下を参照↓↓
白蝶真珠ネックレス12.1-15.2㎜【オーロラフェニックス鑑別書付き】
黒蝶真珠
南洋真珠の中でもタヒチ産で、ブラックや濃いグリーンカラーを放っているのが黒蝶真珠です。アコヤ真珠にも黒い真珠はありますが、アコヤ真珠の黒は染めです。(ナチュラルブルー・グレーを除く)黒蝶真珠の黒は天然のブラックカラーとなりますので、非常に深みのある光沢を味わうことが出来ます。
黒蝶真珠も中国の人気に伴い高騰しましたが、2024年現在相場は下がり傾向にあります。
淡水真珠とは?池蝶本真珠との違い
淡水真珠は淡水域で養殖される真珠の事で、今現在はほぼ中国産です。母貝が大きく一度に沢山の量が採れるために価格はアコヤ真珠や南洋真珠よりも低めです。比較的低価格の淡水真珠ですが、高品質なものは非常にきれいで、なぜもっと流通しないのか疑問を持つ方もいるほどです。
この淡水真珠にも色々と表記の仕方があり、「淡水真珠」「淡水パール」「池蝶本真珠」などと呼ばれることがありますがすべて同じ種類の真珠を意味します。池蝶というのは淡水パールに使用されている池蝶貝・ヒレイケチョウ貝が由来となっています。
淡水パールと表記するより、池蝶本真珠と表記した方がより高級感が増します。
あこや真珠と本真珠の違いで混乱が生じる理由
あこや真珠と本真珠の違いで混乱が生じる理由の一つは、淡水真珠に本真珠表記をすることで、通販において消費者がアコヤ真珠と間違えてしまうという事です。
販売ページに「本真珠」とだけ書いてあって安価である場合、本真珠=アコヤ真珠と思っている人が即決することがあります。
少しややこしいですが、先程も表でまとめたように偽物でなければすべて本真珠(本物であるという意味)表記が可能です。
↑あこや真珠に貼り付けている本真珠保証シール
淡水真珠もWikipediaなどで参照すると本真珠の仲間として扱われています。
混乱しない為にも、真珠の種類は買う前にしっかりと確認することが重要です。
日本では古くから、冠婚葬祭用はアコヤ真珠をメインに扱ってきているので、アコヤ真珠=本真珠という認識をされる方がほとんどです。
若い方であれば、本真珠=偽物でないという認識の方がほとんどと見受けられますが、古くからパールを愛してこられた方にとっては本真珠=アコヤ真珠です。
結果、アコヤ真珠でないのに本真珠表記がなされていると混乱し、本真珠=アコヤ真珠という思い込みから低価格の淡水真珠をアコヤ真珠と勘違いして購入される方が一定数います。
この認識の違いを防ぐためにも、購入前には必ず真珠の種類を確認することや、アコヤ真珠と淡水真珠の特徴や違いについて知っておいてください。
鑑別書に「本真珠」と書いてあったら?
鑑別書などを発行している会社に淡水パールの鑑定を依頼すると、淡水パールは「真珠」と表記できても「本真珠」とは記載できない場合があります。
日本国内では本真珠=アコヤ真珠という考えが浸透しているため、消費者が勘違いしないためにもアコヤ真珠以外は本真珠表記しない事があります。
逆に淡水真珠を偽物と勘違いしている人も一定数いるので、淡水真珠と表記するのではなく「真珠」と表記することがあります。
鑑別書に「真珠」のみ記載されている場合、それは淡水真珠である可能性が高いですが、そうでない場合もあります。
偽物の見分け方とは?
ここ数年、真珠が非常に高騰し世界中で大人気となりました。多くの真珠が流通した影響で、残念ながら偽物の真珠や偽物の鑑別書が出回っているようです。もし手元に真珠がある場合、真珠同士を軽くこすり合わせることで本物か偽物かの区別をすることが可能です。
本物の場合、真珠の粉が出てきますのですぐに判別可能です。(極端に劣化した古いパールの場合は真珠層が剝がれる恐れがあります)
ただ日本のマーケットにおいては中古市場を除いて偽物が出回る確率はまだまだ低い傾向にあります。仮に百貨店や真珠専門店で偽物を販売しているとすれば大問題でしょう。ですから新品をお探しの場合で、比較的信頼できるお店であれば通販を含めて偽物にあたる可能性というのはほぼゼロです。
しかしながら、ある程度の知識をもっておくことは良いパールを買ううえでも役立ちます。
更に詳しくは↓↓
本真珠は天然?それとも養殖真珠?
画像は天然黒蝶ラウンドパール
「本真珠」や「天然アコヤ真珠」という記載で誤解が生じる別の例もまとめます。
本真珠と聞くと天然の真珠(まったく人の手が入らない)を想像してしまいがちですが、今売られているほとんどの真珠は養殖真珠で、意図的に真珠層を貝に作らせています。
真珠はもともと貝内に異物が混入した際に、自らを守ろうとするために自身が真珠の元となる物質を分泌して異物を包み込むことで形成されます。
これを養殖では意図的に貝内に異物を混入して真珠層を形成させています。
綺麗な真円の真珠が出来るかどうかは当然運次第となりますが、なるべく真円になるように、挿入する異物も球体のものが使われています。これがよく言われる「核」と呼ばれているものです。
天然で真円はありえない?
真円に極力近く傷がない真珠を養殖するのはこの核を挿入することによって可能になりました。ですのでこの真円に近い真珠をもし人に依存しない環境で作るとなると、大変な事です。
偶然見つけた天然真珠貝の中身を開けてみて、真円に近い真珠が採れるという事はまずありえない事なので、珠が沢山ついた真珠のネックレスを天然物で作ろうとするのはほぼ不可能です。
天然で採れる真珠のほとんどが「いびつな形」をした真珠になります。
もし私が数百年・数千年生きられるとしたら、一生懸命集めて1本の天然真珠ネックレスを作ってみたいものです。
もちろんアコヤ真珠ネックレス最高峰クラスと言われている「花珠」称号付き本真珠ネックレスも全て天然ではなく養殖真珠です。
花珠真珠ネックレスについて興味がある方は、以下の記事もご参照ください。
また鑑別機関の中には、「アコヤ養殖真珠」などと記載している場合もございますが、他の鑑別機関で「養殖」の表記が無くても基本すべては養殖真珠です。
まとめ
アコヤ真珠と本真珠は基本同じ意味です。
あこや真珠は真珠の1種類にクローズアップされているのに対し、本真珠と言うのは本物のパール全体を指す語として用いられており、その種類は様々です。
日本ではアコヤ真珠が盛んに養殖されメインで販売されていることから、本真珠=アコヤ真珠という古くからの考えが残っている事が原因で時に誤解が生じます。