真珠の経年劣化を心配する人は沢山います。この記事では、経年劣化の原因と対策を知って、怖がらずに毎日普段使い出来るポイントをお伝えします。
真珠の寿命と劣化:知っておきたい基礎知識
では、早速真珠の経年劣化に付いて基礎的な知識から簡単にまとめていきます。
真珠が経年劣化してくると、輝きがなくなり、黄ばんできます。
⇑劣化して黄ばんだパール(右側)と正常なパール(左側)
もし黄ばんだ状態が分からない場合、中古のリサイクルショップなどに行くと見かける事が多いです。
また、フリマサイトなどで中古の真珠ネックレスを検索してみて下さい。(必ず見つかります)
真珠の寿命は何年程度なのか?
真珠の寿命が何年なのか?この疑問は真珠の種類によって異なります。冠婚葬祭などで多く使用されるアコヤ真珠ですと、早いものは1-2年程度で経年劣化の兆候が見られますが、劣化に強いパールであれば10年以上も購入当時と同じ輝きをする事もあります。
劣化の原因とは?身の回りの要注意リスト
真珠の経年劣化を防ぐ3大原則は、
- 劣化の原因となる物質を避ける。
- 良いパールを買う
- お手入れをする。
劣化の原因となる物質を避けるに関しては、
で取り上げていますが、注意すべき代表的な物質は酸性
レモン・みかん・果物などの柑橘類や、お酢には気を付けないといけません。
真珠の劣化と品質:アコヤ真珠の特徴と注意点
良いパールを買わないと、すぐに経年劣化の兆候が見られます。
特にアコヤ真珠の場合、上記の劣化に影響を与える物質に加えて、新品の状態でも加工が優秀がどうかによっても品質が左右されます。
アコヤ真珠の品質に影響を与える漂白過多とは? ・
有機物でブルーに輝くナチュラルブルー
浜上げ(アコヤ貝から採り出された)されたあこや真珠には、有機物が沢山含まれています。簡単に言えば汚れているという事です。
上記画像のように、それが綺麗にブルー色となっていると、ナチュラルブルーとして製品化されますが、そうでない場合がほとんど。
これを綺麗にするために過酸化水素(業者によって異なる)などを用いて漂白を行います。漂白を行えば、黄ばみが取れたり汚れが落ちて綺麗な白いパールになるわけです。
この漂白のみを行ったパールが、今人気の無調色(ナチュラルカラー)などと呼ばれている真珠になります。
この漂白を沢山行うとどうなるのか?言わなくても結果が想像できますね。
手が洗剤によって荒れるのと同じように、パールにもダメージが加わります。
パール自体がしっかりと巻いていて強いパールなら、漂白にも耐えられますが、漂白のし過ぎは注意です。
ポイント
漂白を沢山しなくて良い=高品質=値段が高い。
安い無調色パールは漂白過度の可能性。
調色過多による品質劣化とその見極め方
漂白を終えた後に通常行われるのが調色です。
ほとんどはピンクの染料を用いるために、パール表面が綺麗なピンクに仕上がります。(必ずしもピンクの染料を入れるとは限らないので、白い場合もあります)
他の記事でも書いていますが、髪の毛をブリーチ脱色して金色に染め上げるのと同じようなイメージです。
この点についても想像すれば分かると思いますが、パールのテリや巻きが弱い低品質のパールに沢山の調色をする事は、パールへのダメージとなります。
ポイント
安くてテリの無いラウンドパールがピンクの場合、調色過度の可能性がある。
安すぎるピンク色のパールには手を出さない方が良い。
安いパールを購入する場合には、品質や経年劣化に関しては承知の上で購入する必要があります。
真珠の劣化から守るための正しいケア方法
劣化を促す酸、光、水分への対策とは?
でも扱っていますが、パールの天敵は酸性物質以外にも紫外線や水道水、アイスクリームなど、様々な危険が潜んでいます。
これらの対策として、巻きの厚い高品質パールを買うという対策しか出来なかったのがこれまでの現状でした。
でも今では真珠自体を強くする特許技術としてPS加工があります。
PS加工は特殊な液体にパールを浸す事で、見た目による変化はゼロで、炭酸カルシウムからフッ素カルシウムへと真珠自体を変化させる技術です。
経年劣化に強い高品質パールは高額である事がほとんどですが、パールに関して詳しくない場合はどれが劣化に強いのか分からない事がほとんどです。
調べれば調べるほどわからなくなる事がありますので、信頼できる販売店から購入してPS加工をするのが一番安心です。
質の良い真珠を選ぶためのポイントとは?
これまで書いてきたポイントを以下にまとめます。
ポイントまとめ
安い無調色(ナチュラルカラー表記)パールは漂白過度の可能性。
漂白を沢山しなくて良い=高品質=値段が高い。
安くてテリの無いラウンドパールがピンクの場合、調色過度の可能性がある。
安くても傷の無いパールは薄巻の低品質である場合が多く、経年劣化しやすい。
傷が気になるのは当たり前ですが、予算が限られている場合は多少の傷を許容する事が劣化に強いパールを買うポイント。
使用後のお手入れと保管方法:長持ちさせる秘訣
その他に長持ちさせる方法として、
とにかく柔らかい布で拭く事。
使用後や手で少しでも触ったらとにかく拭く。
この習慣を徹底する事が真珠を長持ちさせる秘訣です。
有名真珠ブランドの寿命と劣化対策
劣化しない高品質なパールを買うには、ブランドのパールを買えばよいと思われるかもしれません。
また、パールは必ず劣化するものと分かっていれば、高級ブランドも劣化するのか心配かもしれません。
ミキモトなど高額ブランドの真珠の寿命について
高品質ブランドパールの代表はミキモトパールです。
ミキモトパールはパール品質の基本であるテリ(輝き)と巻き(真珠層を厚み)を重視し、なおかつ傷の有無にもこだわっています。それ以外にもなぜミキモトパールは劣化しにくいのか?
答えは簡単。
高いパールを扱っているからです。高いという事は元の状態が良い。パールを加工していく上でのスタート時点で他の珠と状態が違う事を意味します。
でも扱っていますが、ブランドの名に懸けてでも低品質のパールは扱わないと個人的には思います。
ハイジュエリーブランドでも劣化する
高いブランドの真珠を買っていても劣化する場合があります。
多くの場合はお手入れを怠っていたことが原因でしょう。経年劣化に強い高いパールを買ったとしても、劣化する時は劣化します。
ぜひ劣化する前に対策を行いましょう。
信頼性のある真珠ブランドの選び方
この点に関しては、
真珠ネックレスはどこで買う?【※プロならこうする!2024年版】
で詳しく扱っていますが、何が信頼できるかどうかを判断するのは難しいです。
ネット通販では評価が重視されていますが、真珠は食べ物などと違ってかなり専門的な商品です。
みんなが良いと思っていても、大概評価されているのは真珠に関して詳しくない人から見て良いと思っている事。
その良いと思っていることは、専門的な観点で見ていくと必ずしも良いとは限りません。(パールに関しては大体傷で評価されることがほとんどなので。)
ネット通販で販売元が信頼できるかどうかは、素直に良い物は良い、悪い物は悪いという意見を言えることだと思います。
ミキモトなどのブランドは、頂点を極めているので言う必要はありませんが。
真珠の劣化を復活させる方法
劣化してしまった真珠を修復させるには、いくつかのポイントがあります。
劣化した真珠を蘇らせる方法と注意点
まず、劣化の程度を確認します。黄ばみや劣化が真珠層の深くにまで浸透している場合、買い替える必要があります。
もし仮に早く気づいた場合には表面を研磨したりすることでテリを回復させることが出来るかもしれません。
真珠科学研究所が販売しているリフレッシュクロスは、表面を研磨する事で新しい真珠層を出し、購入時のテリを回復させる効果が見られます。
劣化を真珠層内部までに浸透させないためにも、購入時の真珠ネックレスの状態をよく観察し、以前と比べて少しテリがぼんやりしてきたと感じた時にすぐ行動する事が大切です。
専門家による修復サービスの利用法とメリット
真珠の劣化を復活させるには、専門家に依頼する事も可能です。
例えば、
①PS加工(一部の真珠販売店による作業)
②マイクロパーマネント(真珠科学研究所による作業)
を行う事で、テリが回復する事があります。
もちろんパールの状態により必ずしも回復するとは限りませんが、軽度の経年劣化であれば加工を行った後にテリが回復したと感じる事でしょう。
実際に、当店でもPS加工やマイクロパーマネントを実施して、テリが回復したという事例を持っております。
PS加工やマイクロパーマネントを行った場合、経年劣化に対する耐性がかなり向上するために、パールネックレスをタンスにしまうのではなく、日常的に身に着ける事が可能です。
PS加工に関しては以下の記事もご覧ください↓
劣化を気にせず楽しめる真珠ブランド3選
最後に、劣化に強いとされている真珠ブランド3選をお伝えします。
それは、
です。
劣化に強いアコヤ真珠ブランドの特徴とおすすめ商品
ミキモトパールや大月真珠は有名なブランドなので説明する必要はないかもしれませんが、それ以外で劣化に強いパールを販売している店を見つけるポイントは、
劣化についてしっかりと記載しているかどうか。
これに限るのではと思います。
沢山の販売店があって価格も様々なので混乱しますが、花珠やオーロラ天女を最高峰などと強調しすぎない事も大切と思います。
もちろん花珠系は美しいので強調するのは悪くないですが、そういったパールも素直に劣化するかもしれないので対策して下さいね。と正直に言えるかどうかだと思います。
単に売るだけでなく、買う人にとって何が大切なのかを分かっている販売店は、自然と選ばれる傾向にあります。