オーロラ天女とオーロラ花珠にはどの様な違いがあるのでしょうか?完結にまとめれば、価格、テリ、干渉色の出方となりますが、見た目区別が付きにくい個体もありますのでそれぞれまとめていきます。
オーロラ花珠とは
↑テリが強い無調色オーロラ花珠
オーロラ花珠とは、真珠の鑑別機関である真珠科学研究所という第三機関が定めた高品質「花珠」の基準に合格して与えられる称号の事です。鑑別書には肌色のラインが入っており、鑑別番号の始めにはSもしくはSSから始まる番号が記載されています。
巻き厚は平均して0.4mm以上という基準がありますが、傷やテリの程度などに関して公表されているわけではないので、合格するかどうかは鑑別に出してみないとわかりません。
真珠科学研究所以外にも「花珠」称号鑑別書を発行できる機関は沢山ありますが、真珠科学研究所の花珠基準は厳しく、日本国内においても1番信頼できる機関としても有名です。
花珠の基準は法律で決められていないので、花珠の中でもトップ品質に君臨しているのがオーロラ花珠と言えます。
オーロラ花珠鑑別書サンプル全景
様式が新しくなっていますので、最新の鑑別様式をアップしています。
以下では特別呼称の部分を拡大した画像です。
↑この部分を見るとオーロラ花珠は、真珠科学研究所の最高品質の範疇(はんちゅう)にある場合発行する事が出来ます。
オーロラ天女とは
オーロラ天女とは、前述のオーロラ花珠よりも更に一段階上のランクに与えられる鑑別書の事です。オーロラ天女鑑別書にはグリーンのラインが入っており、鑑別番号はPもしくはSPから始まる番号が付いています。
オーロラ花珠で既に最高品質という言葉が使われているためこの表現には混乱するかもしれません。
またオーロラ天女には花珠という言葉が入らないためにグレードの区別が出来ない方もおられますが、オーロラ天女の鑑別書を見ると備考欄には「上記主要品質分析より、当研究所規定におけるオーロラ花珠の範疇(はんちゅう)にあります。」
と記載されています。
↑↑オーロラ天女鑑別書には、「オーロラ花珠の範疇(はんちゅう)にある」と記載されている。
つまり簡単に言うとオーロラ天女はオーロラ花珠でもあると言えるのです。では何が違うのでしょうか?
オーロラ天女とオーロラ花珠の鑑別書を比べると、品質分析のテリ項目が違う事に気付きます。
オーロラ天女とオーロラ花珠の違い
まずはオーロラ天女の鑑別書サンプル全景をアップします。
オーロラ花珠の鑑別書と異なる部分を見つける事が出来るでしょうか?
以下からは、オーロラ花珠の鑑別書の拡大図やオーロラ天女鑑別書の拡大図が出てきます。両者混同しがちですが、しっかり整理していきましょう。
品質分析(テリ)
まずはオーロラ花珠鑑別書の品質分析を見ると、テリに関しては最強項目である事がわかります。(どのオーロラ花珠も必ず最強レベルが必要です)
↑オーロラ花珠鑑別書の品質分析項目
ただ注意すべき点として、オーロラ花珠の基準に合格した個体の中でも、テリ強度において最上位の数値を得た物には、テリに特化したオーロラ天女という鑑別書がつけられるという事です。
これは、オーロラ天女の鑑別書を見ればわかります。
↑オーロラ天女鑑別は、テリ強度測定にて最上位を得ている。
↑さらにオーロラ天女の鑑別書の品質分析はテリ項目だけが独立(干渉色もこの中に含まれる)しており、最上位の数値とは真珠科学研究所の規定で100点満点の内90点以上である必要が条件となっているようです。
簡単に言えば、こういう事になります。
「オーロラ花珠基準に合格すれば、当社最高品質の証でもあるオーロラ花珠鑑別書をつけられます。でも90点以上の場合は特別優秀なので必要ならばテリに特化したオーロラ天女鑑別書にも出来ます」
この「必要ならば」という表現に注目して下さい。
天女鑑別を発行するかしないかは、申請した人が決めるという事です。
つまり基本はオーロラ花珠だけれど、優秀ならオーロラ天女でもいいですよと言っています。
オーロラ天女で合格出来てもオーロラ花珠の鑑別書にする事も出来るという事です。
どう言う場合に起きるかというと、鑑別申請者に強いこだわりがなく、オーロラ花珠の鑑別があれば十分と感じてあえて天女で検査しない、または初見でオーロラ天女は合格できないなと判断して天女ではなくオーロラ花珠の申請にしているなどです。
たまにですが、オーロラ花珠で発行されているテリの強いネックレスをオーロラ天女で申請すると合格することもあります。
また少し余談ですが、無調色表記というのも申請時に表記するかどうかを申請者が決める事が出来るので、無調色なのに無調色と記載されていない事もあります。(記載はオプションであるという事です)
干渉色
オーロラ効果が確認できる真珠は、色味の鮮やかさが異なります。
オーロラ天女は一般的にオーロラ花珠よりも鮮やかな干渉色をしているのが特徴なので、目で見ても、オーロラ実写画像を見ても違いを判別出来ます。
↑一般的なオーロラ花珠干渉色
↑オーロラ天女干渉色
ただ必ずしもオーロラ天女だからと言って干渉色が強く出るとは限りません。
例えば以下のオーロラ画像をご覧ください。
↑干渉色が強いオーロラ花珠
この画像から分かる様に、オーロラ花珠であっても干渉色が強くオーロラ天女と変わらない個体(もしくはそれ以上)も存在します。こういったオーロラ花珠は若干お値段が高めですが、同じオーロラ花珠でも品質は全く別物ですので、単に値段だけで決められないのがオーロラシリーズです。通販であれば、鑑別書や実際の画像があるかどうかはとても重要なポイントとなります。
また干渉色はオーロラ花珠と比べてそこまで変わらないのに、表面の輝き(テリ)が優れているためにオーロラ天女で合格してくるパールもあります。
比較的見た目に影響するのが干渉色ではありますが、オーロラ天女はテリが主な比較対象となっているようです。
干渉色にはピンクとグリーンがありますが、オーロラ天女の鑑別書にはその色味表記が記載されています。
干渉色がピンクのみでなっている場合、ピンク系にチェックが入り、グリーンよりもピンク干渉色の方が強く感じる場合ピンクグリーン干渉色、グリーンがピンクよりも強い場合グリーン干渉色と表現されます。
ただ干渉色の発現分類に関しては、鑑別書で見るよりも実際肉眼でどう見えるかが大切です。表記はピンクグリーンだけれども、肉眼ではグリーンが強めに感じる個体は沢山ありますので、この表記は参考程度に見る必要があります。
オーロラ花珠の干渉色
オーロラ花珠の干渉色表記には、オーロラ天女のように細かい記載はなく、今現在は「あざやかな干渉色の発現を確認」としか記載されていません。
この点を比べてみても、品質分析(テリや干渉色)の分析に特化したのがオーロラ天女であるという事がわかります。
写真で比べるオーロラ天女とオーロラ花珠
画像で両者を比べても、そこまで決定的な違いはでないように見受けられます。
左はオーロラ天女で、右がオーロラ花珠です。
こちらは右がオーロラ天女で、左がオーロラ花珠です。
良質なオーロラ花珠を使用しているため違いが出にくいですが、わずかながら表面のテリ感はオーロラ天女の方が上である事が画像からも確認できます。
言葉で表現すると、オーロラ花珠の最低ラインのパールは、上記よりももっとぼんやりしており、オーロラと呼べる程の綺麗な干渉色は見受けられないのが事実です。
それに比べてオーロラ天女は、表面のツヤにきらめきがあり、時にはギラギラしています。
別の言葉で置き換えれば、オーロラ花珠はフライパンに溜まった水の様であり、オーロラ天女はフライパンに油をしいた時の様な感覚です。
時として、ギラギラしすぎるパールを嫌う方があえてオーロラ花珠を選択される場合もあります。
オーロラ天女とオーロラ花珠で傷は違う?
オーロラ天女はオーロラ花珠の一部という認識が正しければ、傷の基準はオーロラ花珠もオーロラ天女も同じになります。
↑オーロラ天女の傷項目は微である事が条件
↑オーロラ花珠の傷項目も同様に微が条件
オーロラ天女もオーロラ花珠も傷は微量である事が条件ですので、一般的には傷の程度に変わりはないと言われていますが、実際に低価格品(下のクラス)で比べていくとオーロラ天女の方が傷が少なめである事に気づきます。
この原因については一部私自身の憶測も含まれていますが、多くの業者は新しい珠が上がってきて製品化するにあたり、まずオーロラ天女の鑑別を出して落ちたものをオーロラ花珠で取得するという事を行っています。
よって、珠単価が高く傷が少ないネックレスが初めにオーロラ天女として合格してきます。オーロラ天女で合格させるために意図的に傷の少ない良い珠をネックレスに組み込んでいるために、オーロラ天女ネックレスは必然的に傷が少なくなり価格も高くなるのだと思います。
オーロラ天女に落ちてしまうネックレスというのは、ネックレスに組み込まれている約50珠の中で一部の珠のテリが天女基準に満たないため、不合格になってしまった可能性があり、こういったネックレスは意外にも安価で非常に高品質です。
オーロラ花珠に関してはテリ基準からして比較的珠数が確保できるので、若干傷ありの珠を混ぜたりしてとにかく大量にネックレスを作るようにしているのかもしれません。
オーロラ天女とオーロラ花珠で巻きは違う?
オーロラ天女もオーロラ花珠も巻厚の検査で平均0.4㎜以上出ていれば合格できますので、巻厚の基準はオーロラ天女もオーロラ花珠も同じです。
でもこの巻きというのは真珠屋の場合数値ではなく見た目で判断していることが多いのが事実です。
この巻きがある真珠ネックレスというのは、色の深みがあり豊かな干渉色が観察できるのが特徴です。
この色の深みや干渉色の出方で判断すると、やはりオーロラ天女が一枚上手という印象を受けます。例えば巻厚値が0.6㎜のオーロラ天女とオーロラ花珠を比べても、天女の方が色の深みがあって綺麗である場合がほとんどです。
もちろん上記でも書いたように、数珠天女の基準に満たなくてオーロラ天女に合格できなかったオーロラ花珠ネックレスというのはほとんど違いを感じない事もあります。
オーロラ天女やオーロラ花珠を検討されている方は、巻厚値ももちろん重視する気持ちはわかりますが、ネックレスで0.5㎜以上出ているような商品を選択したのであれば、実際にテリと干渉色が優れているかどうかにかなり慎重になられると良い品が手に入ります。
オーロラ天女もオーロラ花珠も非常に高いお値段ですので、実際の画像と鑑別書を事前に確認することは必須です。
オーロラ天女に関しては更に以下の記事も参照できます↓↓
まとめ
オーロラ天女とオーロラ花珠は似た関係性にありますが、オーロラ花珠の中でもテリに特別特化した鑑別書がオーロラ天女で両者ともに花珠真珠です。テリ以外で見ていくと巻きは0.4㎜以上で同基準、傷基準も一般的には同じと言われていますがオーロラ天女の方が若干傷が少なめの傾向にあります。
オーロラ天女はオーロラ花珠よりもグレードやランクが上である事がほとんどなので、自然と販売価格はオーロラ花珠よりもオーロラ天女の方が高くなります。